直線が、曲がって見える、ゆがんでる、暗く見える、視力が低下、色合いがちがうなど
見たい中心に異常を感じることがあります。
視力が急に低下すれば異常と感じるのですが、
ゆっくり低下したり、一時的な低下が、直ったり悪くなったりの繰り返しをしていると
気付きにくそうになります。遠視、乱視、近視などや老視(老眼)でも、メガネを
合わせて見ていない人や、白内障で視力の低下がある人は、気付くのが遅れます。
普段から見やすくなるメガネを使うことで、
早めに視力の異常に気づきましょう。
また、眼科検診を受けることで、
自分では気付かないでいた異常を見つけることも
大切ですね。
真ん中が見えにくくなる代表的な二つの病気を勉強しましょう。
その一。
30歳から50歳前後までの人に多いものです。
中心性漿液性(しょうえきせい)網脈絡膜症(もうみゃくらくまくしょう)
少し長い病名の病気があります。
お聞きになったことは有りませんか?
働き盛りの男性に多く女性の3倍以上。
車の運転が多い、残業が多い、睡眠不足が続く、心配事やストレスが重なるなど
心身ともに疲れているときになりやすい病気です。
病気の発症機序は?
網膜の光を感じる視細胞の奥に網膜色素上皮と呼ばれる
細胞があります。この細胞の機能が弱まると、網膜に酸素や栄養分以外の物質が
入り込むことを防いだり、網膜からの老廃物を脈絡膜に戻すバリア機能が低下します。
この機能低下のため網膜側と色素上皮層の間に不要な液体がたまって、中心だけに
網膜剥離の状態を起こします。
原因はよく分かりませんが脈絡膜の循環障害
(血流が悪くなったり、水漏れが強くなること)が、原因の元になっていると考えられています。
過労気味の生活を改めて心身をいたわるようにしましょう。
3から6ヶ月で自然に治ることが多い病気です。しかし、視細胞が元に戻らないと
視力低下やゆがみなどが残ることもあります。レーザー光線治療が、効果的と
判断されるときはレーザー光線治療をすることもありますが、慎重に適応を決めます。
網膜や脈絡膜の循環をよくさせる薬や、ビタミン剤の内服治療もしましょう。
その二。
50歳代から増えてくる加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)。
加齢:年齢を重ねてということですね。
最近の十年間で、皆さんにも聞いたことのある
目の病気の一つになってきました。 アメリカやヨーロッパでは、前から視力障害を
起こす病気の一番多いものとされていました。
高齢者の増加と食生活の欧米化などにより、日本でも増えています。
加齢黄斑変性の二つの病型。
(1) 萎縮型 (2) 滲出(しんしゅつ)型
(1)は、中心の網膜や脈絡膜が薄くやせてしまうタイプで、治療が難しい。
(2)は、脈絡膜から異常な血管(脈絡膜新生血管)が、バリア機能のある
網膜色素上皮の下あるいは網膜と網膜色素上皮の間に侵入して
出血や浮腫を起こして網膜を障害する病気です。
病状の悪化で光を感じる視細胞を壊してしまいます。
中心性が一時的で、機能障害なのに比べて、
加齢黄斑変性は、徐々に進み器質障害を残し直りにくい病気ですが、
新しい治療法が開発されている病気でもあります。
特殊な加齢黄斑変性専用の光線療法や、
脈絡膜新生血管の発育を抑えて視細胞を守る
注射液を眼内に投与する方法など。
この分野に詳しい眼科に紹介し治療をしてもらいましょう。


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