三次の妖怪
『稲生物怪録絵巻』(いのうもののけろくえまき)

備後三次の藩士・稲生武太夫(いのうぶだいゆう)、幼名を平太郎という者、
幼い時から勇猛で名を馳せ、世間でたいそうな評判であった。
 時は寛延二年、平太郎十六歳のとき、七月の三十日のあいだ、
数々の妖怪に襲われたが、平太郎は勇気凛々、いささかも恐れることなく、
ついに化け物は降参した。
 妖怪の正体は「山本五郎左衛門」(サンモトゴロウザエモン)という魔物で
様々な妖怪を使い人々をたぶらかしその数100人を超えれば魔国の頭になれるため
これまで85人をたぶらかしてきたが、86人目にあたる稲生平太郎に敗れ帰っていった。 

この模様を稲生武太夫本人が口実した物を「柏 正甫」がまとめ、江戸時代に版本にして
流布した物に『稲生物怪録』、 稲生武太夫本人が書いた(書写本)『三次実録物語』がある。
この『稲生物怪絵巻』は筆者不明らしい。
物怪のの挿絵の一部。どの絵もユニークで発想がすばらしいです。(本書によれば実物とのこと)