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目と糖尿病


<糖尿病>

 糖尿病は全身疾患ですが、主に眼と腎臓と手足の神経に症状が出やすいと言われています。

その代表が糖尿病性網膜症です。糖尿病は現在日本国内で

約700万人いると推定されています。

これは実に40歳以上の成人の10人に1人に当ります。増加の原因は、

豊かになった日本で、食生活を含めたライフスタイルが欧米化され、

また一方で、ストレスがたまりやすい社会環境が作られて、

きたことにあるようです。


<糖尿病網膜症>

 糖尿病網膜症が出てくるには糖尿病になってから数年から10年くらいかかることが

一般的です。糖尿病にかかってすぐ目にくるわけではありませんし、血糖コントロールを

よくすれば糖尿病網膜症が出てくるのを予防することもできます。

重症な糖尿病網膜症になって失明したり、失明の危機に迫っている患者数は全糖尿病患者の

20%位と推測されます。


<予防方法>

 まず、当たり前ですが糖尿病にかからないように、規則正しい生活を心がけ、

ストレスをあまりかけず、欧米型食生活から和食中心の食生活に変えていくことが大切です。

定期健康診断を行い糖尿病と診断されたら、血糖値をコントロールしましょう。


<重要な眼底検査>

 糖尿病に限らず眼底検査は目の状態を把握するのに重要な検査の一つです。

糖尿病網膜症の場合、小さな眼底出血から始まります。この時点では自覚症状はまったく無く、

どれくらい進んでいるのか自分では判りません。体の中で血管や神経の状態を直接見ることが

できるのは眼だけですので眼底の毛細血管の状態を検査することが糖尿病では大切です。

<レーザー光凝固>

網膜症の進行を食い止めるのに、有効な予防手段はレーザー光凝固術です。

これは網膜に新生血管が出てくるのを予防したり、すでに出てしまった

新生血管を焼きつぶして出血するのを予防する治療です。決め手はやはり早期治療で、

定期的な精密検査を受けて的確な治療の時期を決めることです。レーザー治療は、

早い時期であるほど有効で、時期が遅くなると有効率は低下します。

この治療は予防治療で、受けたからと言って視力が良くなることではありません。

しかし、将来の視力を確保するため大切な治療です。

<硝子体手術>


光凝固で進行が阻止できない増殖網膜症で、硝子体出血や網膜剥離になってしまったら、

眼の中の硝子体を切除して、網膜を元の位置に戻す手術が、必要になることがあります。


20年まえなら失明してしまうような状態でも、この手術で視力を取り戻す患者さんもいますが、

ここまで悪くしないことが大切です。


<その他の合併症>

 糖尿病網膜症のほかにも糖尿病による目の病気があります。


屈折調節異常
 
近視が急に進んだり、老眼が早く出てきます。


外眼筋麻痺
 
眼球運動障害を起こし物がだぶって見えることがあります。

★虹 彩 炎★


白目が充血したり、ものがまぶしく 見えづらくなります。


虚血性視神経症
 
頻度は低いですが高度の視力障害を起こします。

糖尿病性角膜障害
 
角膜の表面が傷つきやすくなります。


 眼のどの部分をとっても糖尿病に侵されない場所は無いといって

よいでしょう。それぞれに適切な治療が必要で早期発見、

早期治療のため定期的な眼科検診を受けましょう。


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